集合・位相の本を読むと,『空集合は開集合』という説明がありますよね.昔,「空集合って何で開集合として扱えるんだろう?」ってすごく考えたことがありました.その時は図書館で調べて解決して,安心してそのまま忘却の彼方に行ってしまいました.だけど最近,Webを徘徊していたら,『空集合は開集合』の記事を発見して,懐かしさとともに記憶が蘇りました.ということで頭の整理も兼ねて,ちょっとだけ解説してみます.

  • Step1:「AならばB」「A⇒B」の真偽の定義により、常に、Aが成り立たないとき、「AならばB」「A⇒B」は「成立する」といわれる。

  • Step2:空集合φの定義より、任意の点aに対して、点a ∈φは成立しない。

  • Step3:「∀a ( a∈φ ⇒ ( ∃Uε(a)  Uε(a)⊂φ ) )」は、Step2より、⇒の左項「a ∈φ」がつねに成立しなくなるので、Step1にしたがって、全体としては成立。[注;Uεはε近傍 Uε(a)={ b ∈R | d(a,b)<ε }]

  • Step4:「 ∀a ( a∈φ ⇒ ( ∃Uε(a) Uε(a)⊂φ ) )」が成り立つのだから、空集合φは、開集合の定義を満たす。

R全体、空集合を開集合と呼んでよい理由

 ここでのポイントはStep1の『常に、Aが成り立たないとき、「AならばB」「A⇒B」は「成立する」』という所です.これは少し分かりにくいんですが「A⇒Bというのは約束みたいなもの.AであってかつBでないことを禁止する」ということです.

ちょっと簡単な例を出してみます.例えばピクニックを企画しているAさんというのがいたとすると,こんな命題が考えられます.『天気が良ければ,みんなでピクニックに行く』

  • 天気が良い ⇒ピクニックに行く;はです.自明です

  • 天気が良い ⇒ピクニックに行かない;はです.役割を果たしていないので.これも自明です
  • 悪天候⇒ピクニックに行かない;はです.悪天候だったらピクニックに行くなんて言ってない,つまり条件文が満たされなかった時のことは何も言ってません
  • 悪天候⇒ピクニックに行く;はなんですね.悪天候だったらピクニックに行かないなんて言ってないので.これも条件文が満たされなかった時のことは何も言ってません

ということでStep1の『常に、Aが成り立たないとき、「AならばB」「A⇒B」は「成立する」』はこういう事なのです.

最初に戻ると,空集合の定義より任意の点aというのは無いので『空集合ならば開集合』が成り立つ,という訳です.

なんとなく言葉遊びな気がしますけど,そんな感じです.

参考

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