図書館に行ったら,以前動画で見た「東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方」が置いてあったので,借りて読んでみました.なので,読書メモと感想を書いてみたいと思います.

以前この本を紹介した動画を紹介しましたので,リンクを貼り付けておきます.

読書メモ

冒頭

「自ら考え,想像する力」は3つの要素からなる

  • 1つ目は「問題を見つける力」.誰も疑問に感じない所,常識だと考えられている所に問題点を見出す能力
  • 2つ目は「問題を解く力」.自ら創造した課題に取り組み,克服すべき問題点を整理分析分解し,答えに至る能力
  • 3つ目は「諦めない人間力」.諦めない人間力

「問題を見つける力」

  • 問題を見つける能力の第一歩は,日頃から疑問を大切にする習慣の大切さを理解し,それを身につけること.
  • 「問題を見つける力」の極意は人との対話,そして自分との対話の積み重ねを通じて意識を煮詰めていくこと.「対話」を重んじる雰囲気作りは,参加者が問題意識を共有し,アイディアを引き出す上でとても有効である.
  • 我々はいつも何かを考えている.「自分はいつも何かを考えている」と自覚することで,無意識下から問題の種を拾い上げ,明確な意識を持って考えて見る癖をつけるのが重要.
  • 「そのうち考えよう」を「今,もう少し考えてみよう」に変える.今うっちゃってしまった思考は,殆どの場合は二度と意識に上ってこない.思考に行き詰まってしまったときは「私は何を何のために考えているのか」を意識することが肝心
  • 「分からない」を分類して「何がわからない」かを明確にする
「分からない」は3つのパターンが有る.
  • 「事実を知らない」問題に対する明確な答えが出ていて,それが何処に存在するのかを知らない状態.とにかく調べてみることで解決する.「答えの調べ方」を考えれば解決する
  • 「答えがわからない」何を考えれば良いのかは分かっているが,まだ考えている最中で,明確な答えが得られていない状態.もしくは答えがあるかどうかははっきりと見極められない.自分の頭で考え続けることで問題を煮詰めていくことが出来る.数学の問題がこのカテゴリーに属することが多い.難しい問題を要素に解きほぐしていく分析力が必要.
  • 「何が分からないかわからない」解決すべき問題が存在することは直感できるが,「何がわからないかを明確に意識できない」.考えることが習慣化されていない場合は個々で立ち止まってしまうことが多い.実はこの「何が分からないのかを明確に意識する」という過程こそが「問題を見つける力」の最も肝心な部分.この時に,対話は自らのアイディアを引き出し,発展させるための道具である.
  • 結局「問題を見つける力」とは,漠然とした「分からない」状態を「何が問題なのかは理解しているがその答えがわからない」状態に進化させる能力である.「何がわからないのか」がクリアになれば,問題と課題はハッキリしてくる.最も重要なのは,目で見えている現象の中から何が本質的なものなのかを見極めること.
  • わからないこと,ひらめいたことはメモをするべし.メモを作り,別の機会に取り組めるように,すぐ思い出せるようにしておくことが大事.そして書いたものを読み返すように習慣づける事が重要.
情報収集術1.答えを探さない
  • 関係がありそうな情報や事例をできるだけたくさん集めて調べることで,「何が分かっていないのか,何を理解すれば答えにたどり着けるのか」を明確にする.
  • 情報として簡単に手に入るものは「すでに分かっていること」.情報収集作業の目的は「すでに誰かが行っていること,従ってオリジナルでないものは何か?」を確認してそれを捨て「何がまだ行われていないか」という新たな可能性を見つけること.
  • 情報収集では答えを探さないこと.考えるための情報収集とは,誰かがすでに語ったことや行ったことを「確認」するための手段である.真に新しいアイディアは,この様に徹底した情報収集と分析と整理の努力から生まれる
情報収集術2:インターネットでは事実とノウハウを峻別しよう
  • 動かしようのない事実は,情報源として最良のもの.ウェブは事実を収集するという目的のための手段としては重要な情報源.事実に基づいて自分の頭で自分なりのノウハウを編みだすことこそが問題解決への王道.事実関係を調べ尽くすことによってリスクは最小化され,その過程で新たな可能性も見えてくる.
情報収集術3:理解した情報は捨てる
  • 集めた情報を分析したり整理した後は,元の資料を手元に残さず捨ててしまうようにする.捨てることで頭の中を空っぽにし,今直面している1つ1つの情報に意識を集中する.このように「理解したら捨てる」を原則にすると,わからない部分が明確になりやすい.
情報収集術4:情報は理解できるまで集中して読み込む
  • 情報収集を始めたら,定期的に集めた資料を読み込む時間を作るべし.情報は集める時間より,集めた情報を読み込む時間のほうが大事.
  • メモをするときの最大のポイントは必ず自分の言葉で書くこと
  • メモはできるだけ短くし,箇条書きのように1,2行でシンプルに書く.そして必ず自分の言葉・自分の解釈を加えた形にする.そして情報源を捨てる.
  • まとめる作業をするべし.すでに分かっていることの要点を明確に整理することで,自分の考えを明確に表現する上でとても役に立つ.そして何が分かっていないかがはっきりと理解できる.人の話を聞く時に要点は何かを意識しながら聞けるようになる.
  • 問題の核心を浮かび上がらせる「地図メソッド」を活用する
著者が実際に行っている本質抽出のメソッド
  • (1);テーマに関連の有りそうな情報を徹底的に収集する.ポイントは一度に集めすぎないように注意する.
  • (2);情報をふるいにかける.(1)で集めた資料を丹念に読み,問題の核心に繋がりのあるキーワードと周辺知識を自分の言葉でメモ化してそれ以外を捨てる
  • (3);(1)と(2)の作業を感覚を開けないようにして実行する.集中的な作業をすることで問題意識が高まる.
  • (4);情報地図を作成する.(1)と(2)と(3)をある程度続けたら1枚の大きな紙に「分かっていること」と「分かっていないこと」をリストアップした自分有りの一覧表を作成する
  • (5);本質を抽出する.(4)の作業で分かっていること,分かっていないことを整理していくと,ある部分を解明することでこれまで部分的にしか分かっていなかったことの全体を理解できる.また地図を見ながら「分かっていないこと」の中で何が本当に重要なのかを検討しリストを作成する
  • (6);問題の選別をする.(5)で作成した「分かっていないこと」のリストの中から,「わかりたいこと」を選択する.これがハッキリしないときは,リストを参考にさらに「分かっていないこと」に関わる情報を集め.(1)に戻って作業を続ける.問題を選別する基準は,仮にそれが分かったとしたらどのくらいのインパクトになるか
  • (7);問題の解決
  • なお(6)の問題の選別には注意が3つ.

その他

  • すぐに解決できる問題は選ばない.価値やオリジナリティ,メリットが小さい
  • 流行っている問題は選ばない.競争が激しいほど利益が少なくなる.
  • 最大限努力しても解決できなさそうな問題は選ばない.夢を追い求めることは大切だが,そのときは本気で実現しようと誓えるものでなくてはならない.そうしないと途中でできっこないやという甘えが出くる.
  • 人生は有限なので「何をやらないか」は「何をやるか」と同じくらい重要


「解く力」を身につける

  • 解く力とは,あなたが取り組もうと決めた問題や課題を解く(解決に導く)ための能力
  • 複雑な問題を「類型化」して,まずはシンプルにする.複雑な問題を「要素」に分解することができれば,それぞれの要素について解決可能なものから1つ1つ解決していくことが可能になる.そして最後に残った要素(問題の核心)をみつけ,それに全力を上げて取り組む.
  • ゴールオリエンテッドとは目標を明確に定め,そこに向かって最短距離を一直線に進んでいこうとする目的志向型のアプローチ.一方キュリオシティドリブンはゴールとは一見関係なさそうな方向に好奇心の赴くままにすすめることで,当初の目的に縛られない自由な発想を得ることが出来る
  • 「分かっているつもり」と「知っているつもり」は落とし穴.なぜならば,「分かっているつもり」「知っているつもり」だと疑わなかった部分の影に真実が隠されている.「なぜそうあるべきなのか」「どんな場合にそうなるのか」を絶えず考え,検証しながらマニュアルを発展させていくことが大事.

「諦めない人間力」を身につける

  • 一朝一夕に答えが出せるようなものではない問題にこそ,大切な時間を費やし,あなたの頭脳を働かせ続ける価値がある.そして考えるという行為そのものが,脳を活性化させ,興奮と深い満足感を脳に与える.寝食を忘れるような精神状態に持っていくためには,自分が選んだ課題を諦めずに取り組み続ける事が必要である.諦めずに考え続けることができれば,好奇心替え絶えず刺激され,興味を持続させることが出来る.
  • 答えがすぐに出せない自ら見つけた課題に時間と労力を費やすのは,それほど非効率なことではない.なぜならばその行為そのものが他の方法では達成が難しい「考える力」を鍛えてくれるためである.そして独自な問題には競争相手が少ない.
  • 目の前の壁がどうしても超えられないときには,思い切ってスタート地点まで引き返す勇気を持つべきである.志向が行き詰まったときには「本来どうあるべきか」をもう一度問い直してみることが大切.
  • 成果の出ない時間を無駄と考えてはいけない.天才的なひらめきを手にするには,成果に鈍感なタイプ.重要なのはエラーをしてもへこたれず,何度でも粘り強くトライする「人間力」と失敗から何かを学び取ろうとする冷静な分析力.

考えることは創造すること

  • 考える力を鍛え,諦めない人間力を身につけることで,自ら考え創造する力を養う.
  • 優れた論文ほど「何が分かったか」と同じくらい「何が分かっていないのか」が明確に書かれている.
  • インフォメーション(情報)を徹底的に分析することで.その裏に隠されたインテリジェンス(知恵)を獲得している.
  • 情報を創造の素材に変える捨てるテクニック.
  • 大人の「どうして?」と大切にするべき.目の前にある情報をそのまま受け入れるのではなく,客観的かつ分析的に考えて何気ない質問を対話へと進化させる(クリティカルシンキング).疑問に対する答えをただ調べるだけではなく,積極的に疑い,わからないことを楽しむ.会話の中に潜んでいる誰かの疑問を一緒に考える.

感想

重要なのは問題を見つけることで,そのためには何が分からないかを明確にする.そのために情報を集めるだけ集めて,片っ端から捨てていく,という風に理解しました.

加えて,なんとなく「まあ良いや」とか「こんなもんでしょ」みたいに問題から目を背けるのも問題を発見することから遠のいている気がします.自分にはこういう癖がある気がするので,気をつけてみようかと思います.

問題を見つけるという話は,ちょうど最近見た下記の動画に通づる物があるのかと.


おまけ

問題を見つけるということについては,以前読んだ"不"を探すということに似ているような気がするので,参考に貼っておきます.

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