僕にとっては議論とはスポーツだったりします.意見を戦わせて,より高次元な見解を得るというのが面白いと感じたりします.そんな訳で,議論が上手く出来ればいいなぁ,と思っています.

他の人の議論を参考にするため,議論番組をよく見たりします.議論番組が本当に議論の勉強になるのか?とか,議論番組を参考にしても同じ議論を再現しているだけなのでは?というのは一旦おいておきます.最近ではアベプラのこんなシーンに対して,なるほどと思いました.

youtu.be

 

仕事では答えが無いものが多く,意見をすり合わせてより良い方向を導き出したりします.そういう意味では議論する技術というのは重要なスキルだと思います.議論を始める前に,まず自分自身で問いを立てるところから始めるべきですね. 

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 そこから議論が始まるのだと思います.議論の仕方の書籍があったので,いくつかメモを書いておきます. 

だまされない〈議論力〉 (講談社現代新書)

だまされない〈議論力〉 (講談社現代新書)

  • 作者:吉岡 友治
  • 発売日: 2006/08/18
  • メディア: 新書
 

  

第一部 紋切り型に抗して考える
 議論とは  
  • 議論には正解が無い.正しいと思っていることを言うのであって正しいことを言うわけではない.
  • マジックワードを排除する.一番信用してはならないのは陳腐な意見である.たとえば「私たちは自然の状態を知り、なるべく壊さないようにするべきだ」とか「一人一人ができることをしよう」などという当たり前の意見のことである.
  • 「自律した内面」を持つべきである.相手との対立ができても、とりあえず精神的に安定していなくてはならない.その意味でも「内面」とは他人の助力を受けつつも、他人に触れさせない場所を作る
  • マジックワードで議論を帰着させるのは間違えである
  • 言語の正確な意味とその限界を知らないと危険なことになる
 データの考察について
  • データは客観的に読む.具体的には①原因・背景をきちんと理解する、②通念に基づいて陳腐な対策を提案してはならない
  • 大きなトレンドを言語化するとわかりやすい
  • 問題を考えるうえで「解釈」が必要になる.解釈とは「原因・背景」→「メカニズム」→「現象」である.
  • 批判や提案は「解釈」から出てくる範囲に限るべき
  • 「解釈」とは仮説である
  • 通念に合わせてデータを捻じ曲げられることが多い.データが捻じ曲げられた議論は細部が矛盾する
第二部 よくあるロジックの仕組みを見る
 相対主義はやさしいのか?
  • やみくもに平均値を計算してはいけない.平均値は代表値とは限らない
  • 「勝ち負け」ではなく「心理の探究」を負うべき
  • 「人それぞれ」は他を尊重するわけではなく、コミュニケーションを拒否することである
  • 社会への追従ではなく、主観を表現する言葉を作り上げる
  • 権力の差に耐え忍ぶ.議論は権力ゲームだが、それを認めることでコミュニケーションの基礎になる
 ヴィジュアルを議論するには?
  • 美術作品は「解読」「解釈」「批判・鑑賞」の順に語ればかなり客観的になる
  • ビジュアルを語るのは直感やセンスではない
  • 形式を守ればだれでもビジュアルに語れる
 対比について
  • 否定・対比でしか表せないイメージに実体は無い
  • 期待を盛り上げる言語は情報格差によるこけおどし
  • 自分の欲望が向こう側のイメージを作り上げる
 議論の本質について
  • 議論の本質は 問題ー解決ー根拠.
  • 言いたいメッセージは一つである
  • 言いかえは整理すると意外に単純なもんである.碩学な文章に見えても貧困な内容を誤魔化している場合がある
第三部 些細な議論から根本的な問題へ
 対立する意見を評価する
  • 議論を分析するには 問題ー解決ー根拠 をチェックする.
  • 一つの議論では一つの問題を取扱い、議論をすり替えてはいけない
  • 議論では問題を共有する信頼が不可欠である
対立を超えて考える
  • 弁証法というものがある.これは自分から答えを言わずに考えさせるというものである.そのために次から次へと質問する
  • 対立を味方のもとには共通の認識がある.それを認識しないと見かけの対立に巻き込まれる
  • 先に進むには共通した前提を疑ってみる
作業の実体に潜む限界
  • 歴史的記述は物語を作る手順によって決まる
  • 現在の反対物として過去を述べる言説は疑うべきである
  • それでも、我々は歴史をそのやり方でしか描けない
言語能力について
  • 議論を構成する能力が、言語能力の基礎である
  • 国語教育の本質は文化的な正しさの押し付けではない
  • 普遍的な法則を身につけることが言語教育の本質

 

 

反論が苦手な人の議論トレーニング (ちくま新書)

反論が苦手な人の議論トレーニング (ちくま新書)

  • 作者:吉岡 友治
  • 発売日: 2014/09/08
  • メディア: 単行本
 
 第一章 空気は議論のためにある -構造から隙を見抜く
    • 意志するだけでは、自由に思考できない
    • 主張と突っ込みという要素に分解し、1つ1つチェックする
    • まず話されている話題が共通かどうかチェックする
    • それぞれの問題の形によって解決方法が異なる
    • 相対主義は相互のコミュニケーションを不可能にする
    • 議論のルール;①一つの立場を保持し続ける ②間違えたら自分の最初の主張を撤回する
    • 議論は正解を求めるのではなく、主張が妥当であるかを検討する
  • 妥当であるかどうかは「他方からの突込みに対するクオリティ」を測ればよい
    • 聞き手のレベルに応じて根拠を設定する
  • たとえば小学生に「なぜ勉強が必要か?」を答えると、、、
  • なぜならば、実社会にはあなたを騙してお金を盗ろうとする人がいるから.騙されないためには常識的に考えておかしくないかどうかを判断できなくてはならないから
  • 定義から結論に至るまでの言いかえチェーンを作る
  • 難しい表現はもっと優しく言い直されるまで待てばよい
第二章 その議論、間違ってます -ツッコミから反論へ
  • 定義を明確化する;「もう一度定義を言っていただけませんか?」→同じ言葉が同じ事を指していることを確認する
  • 問題を矛盾の形に明確化する
  • 問題の意義を考える=この問題を解けばどれだけのメリットがあるか?解かなければどれだけのデメリットがあるか?
  • 結論は広げすぎると罠にはまる.解決は「~は~である」と断定するのが基本である
  • 前提となる概念を徹底的に検討する→解決の糸口が見つかる
  • 論と例の内容が一致しているかを確かめる
第三章 揉めてからの議論力 -二項対立を乗り越える
  • 対立は勝ち負けの勝負とは限らない
  • 一見対立に見えるが、その根底の見方が共通している→その共通基盤を否定して,新しい見方を提示する
  • 対立は,内容が逆でもある一つの問いへの応答であることは共通している
  • 欲望のままに行動するだけでは「自由」に値しない

 

 あとは何かの講演会で言っていたメモが手元にあるので,転機しておきます.

  • ソクラテスは対話を通して本質に近づけると考えている.巧みな弁論では相手を騙すだけ.
  • 相手とは逆の立場をとってみる.逆の立場に立ってみると,相手の根拠を想像できる.
  • 相手と逆のポディションを取ることで,良い疑問が生まれる.
  • コミュニケーションとは常に相手に合わせることではない.

 

 参考

ja.wikipedia.org